2018年4月15日
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職人のわざ
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nakamura
職人の世界に足を踏み入れたのは50年くらい前の20歳の頃になるなあ。
当時、車関係の会社に勤めていたんやけど、上手く行かんで悩んどったときに伊勢型紙と出会ったんやわ。地元のもんやで、知っとったけどそれまで興味はなかったなあ。友達が彫り師をしてて試しに彫ってみたら、これが意外と上手に彫れてえらい褒められてなあ、それで職人の道を歩むことに決めたんやわ。
それから紹介してもらった親方に師事したんやけど昔堅気な厳しい方でなあ、最初は小刀を握らせてもらえず、毎日道具の手入ればかりやったわ。指は切れるしはじめは辛かったけど、1年くらい基礎を繰り返しとったらようやく小刀を握らせてもらえてなあ。嬉しかったわ。
それから2年くらいで全部の工程を任せてもらえる様になったんやけど、進むたびに壁が現れてなあ、いくつもの壁を自分で越えなならんくて、隙を見て親方の仕事をこっそり覗いてなんとか壁を乗り越えてきたんやわ。
それから3年後に独立してから、本当にありがたいことに今でも職人をやらせてもらっとるけど、小刀を研いで、図案を写して、型を彫って、、、今でも仕事の流れは何一つ変わっとらんな。職人はみんな揃えて言うけど、わしも完璧なものは今まで一度も彫れとらんわ。綺麗に彫れたなあと思っても、やっぱりどこか粗が気になってしまうんやわ。一生修行やな。
今でこそ減ったけど、昔早い時は午前3時から仕事に取り掛かっとったけど、今まで仕事を苦しいと思ったことは一度もないなあ。今でもこの仕事が大好きだし、面白いし、一生ものの仕事に出会えたのは幸せやな。
まだまだ職人は元気だから、いい作品を作って、それが売れて、業界が潤って、後継者への道が残せたら最高やな。
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2018年4月14日
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nakamura
機械生産のない時代、布は大変貴重なものでした。
いまでは当たり前の綿生地も綿(わた)を撚って一本の糸にし、無数の糸を手で織り、生地にしていました。その為、服は破れては継ぎ接ぎをしながら大切に着られており、最後は雑巾になるまで大切に使われていました。その中で刺し子という文化も生まれ、そこからも技術が派生して進化して伝統工芸にもなりました。この様な、最後までものを大切にする「もったいない(mottainai)」という価値観は世界に認められている日本が古来より継承してきた誇るべき文化です。
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2018年4月13日
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職人のわざ
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nakamura
中むらで扱う暖簾の染色技法、藍染めのご紹介です。
昔の日本では、あらゆるところに藍染めが使われており暮らしを支えていました。「紺屋」ということばも、元々は藍染め専門業者のことでしたが、転じて染物屋全体を指すことばになりました。それほど、藍の青は日本の暮らしに根ざした色でした。暖簾に関しても江戸時代の暖簾はほとんどが藍で染められており、日本の原風景に藍色は欠かせない色です。弊社の藍染めは化学薬品を用いずに、伝統的な天然素材を用いた発酵建の藍で染めています。デザインに合わせて、糊置き・抜染・絞りなどの様々な表現が可能です。
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2018年4月12日
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職人のわざ
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nakamura
中むらで扱う暖簾の染色技法、和更紗のご紹介です。
和更紗(わさらさ)とは、日本で更紗模様を染める為に発展した多色の模様染めです。手描きや木版などの更紗染めはアジアでも用いられていますが、型紙を用いて染めるのは日本独自の染色技術です。型紙で染める際は、生地の上に型をおいて、その上から摺り(すり)刷毛という鹿の毛の刷毛で摺って染める技法で、色ごとに複数枚の型紙を使って染めることが特徴です。何度も何度も刷毛で摺って色の濃度を調節していく中で生まれる色は淡く日本らしい美しさがあります。
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2018年4月11日
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職人のわざ
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nakamura
中むらで扱う暖簾の染色技法、引き染めのご紹介です。
引き染めは、生地の端を張り木でひっぱり空間に生地を張り、伸子という竹製の串で凧の骨組みの様に生地を伸ばし空中に浮かせた状態で染めていきます。染める際に刷毛を引く動きから、引き染めと呼ばれています。暖簾や旗を染める様に白く紋や模様を染め抜く印染めも引き染めに属し、その他にも着物などの多くの染物に用いられている技法です。中むらはデザインやご要望に合わせて引き染めでも複数の職人さんの技術をご提案するすることが可能です。手書き風の表現、美しいボカシのグラデーションなど、様々な個性があります。
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2015年12月11日
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職人のわざ
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特大の伊勢型紙で染めました。
三重の北勢に位置する、アクアイグニスは地域の食材を用いたレストランや物販をしており、地産地消に拘った施設です。施設のコンセプトに合わせて、三重の伝統技法を用いて染めた暖簾を製作させて頂きました。暖簾のサイズは長さが3m80cm・幅が2m20cmもある非常な大きなサイズで、型紙もそれに準じた特大サイズになりました。本来の呉服の染色に使用するサイズを遥かに凌駕した特大サイズの型紙ですが、彫り師の職人さんの高い技術により実現しました。
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